社友のお便り

船内ホール、パーティーにて

船内ホール、パーティーにて

２、３年前なら成田まで荷物を引っ張って行って飛行機に乗るのも一向苦にならなかったのだが、どうも最近はそれもおっくうになり、もっと手軽に旅立てる法がないものか物色していたところ、格好なのが見つかったので早速体験して参りました。

楽も楽、何しろ自宅を出て１時間後には自分の客室に収まれるのですから（成田経由ではそうはいかない）。

「ダイヤモンドプリンセス号」は日本生まれでは最大の豪華客船で（116,000トン、三菱重工長崎、バハマ－英国籍）、今年から太平洋沿岸クルーズを開始、船内では金婚式コンテストを始めイベント多数と聞き、来年結婚５０周年を迎える我々にも案外馴染むのではなかろうかと好奇心半分で便乗（コースは横浜－釧路－知床－北方領土－サハリン、コルサコフ、ユジノサハリンスク－小樽－函館－青森－横浜です）。

出航するとさながら動く外国の街といった感じで、大海原に乗り出した頃合、正装した乗客が船内シアターに集合、アメリカ人司会者が結婚５０年（と称する）面々にユーモラスな質問を連発、場内爆笑、結局６０年目だと言う人が現れ、司会者氏が「これはゴールデンじゃなくてダイヤモンド婚だ（しかしダイヤモンド婚は確か７５年の筈ですが）、この船の名前だ！」とマイクに絶叫、そこで優勝者が決まり。シャンパン贈呈、船長主催シャンパンフォール、そのままナイトライフへ突入、とコンテストとは言いながら、たわいのない趣向でした。

船内の催しは盛り沢山で、たとえば或る一日、早朝皆で甲板ウォーキング、太平洋の大波と競歩、英語で聖書研究会、卓球大会、プールでひと泳ぎ、フィットネス、乗組員とのアフタヌーンティー、図書館、ディナーでの人との出会い、晩からのコンサート、ショー、カジノ、家内はカラオケコンテストに挑戦（私はカラオケはダメ、アマオケ（註）は好きですが）と、結構忙しいスケジュールです。

寄港地にはそれぞれ上陸して北海道の夏を満喫しましたが、特に日本統治時代の面影が色濃く残る旧樺太サハリンの街が印象的。

しかし何といっても今回の目玉は北方領土通過の一時間でした。今この海域は日本船は通航禁止で入れず、我々日本人が四島を目の当たりにするには外国船に乗り込むしかありません。暗い夜明けの海に浮かぶハボマイ、シコタン、朝日に映える緑のクナシリ、断崖の山上に雪渓の残る長大なエトロフ。上甲板に集まった乗客皆、息をのんで見入っておりました。

親しくなった人達との情報交換などで改めて感じたのは、海上生活大好き人間が多いなということ。職業にしている人はもちろんですが、エンターテイナーなども。例えば自分はオーシャンピアニストだ、波の上では弾くが、陸上では絶対弾かないと威張っているのがいたり、クルーズマニアやリピーターもいっぱいいて、自分は船中泊、通算何百日を越えた、世界半周を何回やってきたとか、恐れ入って拝聴しておりました。

しかし下船しての感想は、世界半周も結構でしょうがいずれ飽きがくるだろうな、この２週間くらいが正解で、やっぱり陸（おか）はいいな。