おくやみ

ご挨拶

本日はご多用中にもかかわらず、弊社名誉理事 鳥海巌の「お別れの会」にご来臨賜り、厚く御礼申し上げます。

故人は、１９５６年（昭和３１年）丸紅飯田に入社後、主に物資畑を歩み、弊社の発展に尽力しました。海外はベトナム・サイゴン（現ホーチミン）、インドネシア・ジャカルタ、そして米国ニューヨークに北米支配人・丸紅米国会社社長として駐在するなど、経済成長著しかったアジアの勃興期と、弊社にとって現在に至るまで最大の海外市場である米国で活躍した国際感覚あふれる商社マンでした。

１９９２年（平成４年）８月に龍野社長の後を受け、社長に就任。「真の競争相手は、速い時代の流れだ」と今の時代でも通用するスローガンを掲げ、社員の一致団結を求めました。おりしもバブル崩壊後の厳しい経営環境下で、グループ経営の強化、自己責任の徹底に取り組み社員の意識改革を図るなど、６年８カ月にわたり陣頭指揮を執りました。

社長・会長・相談役の時期を通じ、社外活動にも積極的に取り組み、豊富な海外経験で磨かれた国際センスを活かし、貿易業界の育成・発展に力を尽くしました。１９９６年（平成８年）には、日本ミャンマー経済委員会委員長に就任し、初めてとなる合同会合をミャンマー・ヤンゴンで開催し、両国の友好関係の強化・経済協力に努めました。
その他の国との関係構築にも尽力し、１９９７年（平成９年）には、ベネズエラにおけるプロジェクトの功績を認められ、同国より外国民間人に与えられる勲章としては最高位の「リベルタドール勲章コメンダドール位」を授与されました。

社会福祉事業にも目を向け、１９９５年（平成７年）の阪神大震災に際しては、災害救援のため、社会福祉法人丸紅基金を通じて援助の手を差し伸べました。これにより丸紅基金はそれまでの障がい者福祉にとどまらず、震災・地域ボランティア活動にまで支援の範囲を広げることとなりました。またそれまで弊社単独で行っていた基金への出捐を、役員・社員・ＯＢの方々より寄付を募る「１００円クラブ」という募集制度へと発展させました。同基金は、現在も全国各地の福祉団体への寄付や東日本大震災への特別援助などを通じ、社会貢献に継続して努めています。

東京国際フォーラムの社長時・会長時代は、弊社で培った経営手腕を発揮して丸の内地域の発展に貢献し、文化・芸術の場としても広くご利用されています。

ここに、故人が生前に皆様方から賜りました数々のご厚情、ご高配に対し、謹んで御礼申し上げます。

平成２６年３月２４日

丸紅株式会社
代表取締役社長　國 分　文 也